【漫語り】

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フルアヘッド!ココ 5項目評価【漫画レビュー】

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漫画の概要

作者名:米原秀幸
連載雑誌:週刊少年チャンピオン
連載開始・終了時期:1997年~2002年
巻数:全29巻

評価基準の詳細はこちらから

 

埋もれていいはずがない語り継がれなかった海賊漫画

5項目評価

①物語性=8点
良くも悪くも、最高の優等生ストーリーだと言わざるを得ない。海賊には有るまじき、波を立てず船を揺らすことのないその舵取りは、もはや常軌を逸脱している。

少年漫画としての要素が溢れに溢れた王道的なフルアヘッド(全力前進)な作品は、熱くなりすぎて脱線しがちな構成になりがち。だが、この作品に限っては脱線すら一度もなく、一貫してテーマに向けて突き進んでくれる。欲を言えば、ラスボスに魅力がもう少しあれば、少年漫画の王道的ラストバトルがさらに華やかになったのだが……。

対して、欠点という欠点が見当たらないことがこの作品の欠点である。どの話も平均以上に面白いが、クオリティの緩急は少ない。飛び抜けて面白いエピソードがあったかと言われたらそれは頷けない。器用貧乏ではないが、器用に収まったという印象だ。

 

②キャラクター=7点
海賊漫画なだけあって、キャラクターがとても多い。しかし、最高の安定感を誇る作者は、キャラクターに対してもそれを発揮。出てくるキャラクターの8割はきちんとキャラ立てされてある。残りの2割もいわゆる捨てキャラでなく、印象が薄いに収まる程度のものだ。

そして、特筆すべきは少年漫画にあると嬉しい、キャラクターの熱い信念が全力でぶつかり合う展開の数々が目白押しというところ。爆発的に好きになるキャラクターは少ないかもしれないが、お気に入りのキャラクターが1人は見つかるのでないかと思う。


③表現力=7点
痒いところに手が届く表現力は見事の一言。読みやすいコマ割りに生き生きとしたキャラクターの表情、日常とシリアスの配分、見せゴマのクオリティ、山場の勢いなどなど、すべてが高水準に備わっている。

だが、前述したように欠点であるないところが欠点。漫画には意外と必要な要素である、アンバランスな振れ幅が極端に少ないのが惜しい。

 

④オリジナリティ=8点
チャンピオンらしい絵柄に王道なフルアヘッド熱血物語と、一見オリジナリティがないように見えるが、当時から現在まで、海賊漫画を海賊漫画として描き切れた長期連載作品はないだろうということで高評価。

 

⑤間の取り方=8点
恐らく、漫画の呼吸を技術で知り得ている。ただでさえ読みやすいこの作品をさらに読みやすくしているのは、紛れもなくコマとコマの間が気持ちいいからという他ない。日常では軽くスラスラと、シリアスでは時間をペラッ……ペラッとめくらせる重たい間のとらせ方は、感覚でできるものでは無いと思う。

ただ、この作品は一貫して技術で作られているため、ストレスを感じることなく作品に魅了されていく構成となっている。それは当然素晴らしいことなのだが、最後の一押しの物足りなさが残る。

間の呼吸は、少しくらい不自然な方が実はよかったのかもしれない。

 

総合評価

38点

私的ランク

 

最後に一言

ストーリーで漫画を読む方もキャラクターで漫画を読む方もどっちーもの方も、みんな楽しめる作品に仕上がっている。

正直これはアニメ化でもして流行って欲しい一作だ。切実に。

  

フルアヘッド!ココに対する感想

 

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サンセットローズ 1 (少年チャンピオン・コミックス)

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