【漫語り】

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チキタ☆GUGU 5項目評価【漫画レビュー】

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漫画の概要

作者名:TONO
連載雑誌:朝日ソノラマネムキ
連載開始・終了時期:1997年~2007年
巻数:全8巻

評価基準の詳細はこちらから

 

隠れた名作として名高い異質の少女漫画

5項目評価

①物語性=8点
まず何よりも、世界観が秀逸である。『チキタの親を食べ殺した人食い妖怪のラーが、猛毒のあるせいで不味い人間であるチキタを100年間飼育して、毒を抜き美味しくして食べる』というオリジナリティの高いテーマの中で、見ようによってはぱっさぱさにも感じられる乾いた情景と雰囲気で進めていく構成も含めて、あまり他に見ないものとなっている。

シナリオとしても非常に世界観にマッチしたものになっており、カニバリズムや迫害など、重たいテーマを短い巻数の中で扱っている当作品だが、嫌悪感なく(ちゃんと憎悪は感じさせる)読み進めることができる。

物語性で保っている作品でもあるので満点をつけたいところだが、オチが弱いので(人によるだろうけど)少し減点する。


②キャラクター=4点
ほとんどのキャラクターがカラッとした性格をしている。緩急が極端に少なく、悲しい空気が漂う山場ですらキャラクターはケロッとしていたり(最後の方は流石に少し揺れ動いていたが)、楽しい場面でも空笑いのような張り付いた笑顔だったりと、まるで操り人形のような心無い印象がキャラクター全体に漂っている。そのため、読み終わって1ヵ月程経過した後のキャラクターへの思い入れはかなり削がれていること請け合い(読了直後は割と頭に残る)

ただ、色々な感情表現を削ぎ落としているため、シナリオがダイレクトにキャラクターに反映される。そのため、シナリオありきだと考えると、魅力あるキャラクターでもあると考えられる。

 

③表現力=0点
前述の通り、表現力は皆無に等しい。キャラクターの描き分けはもちろん、表情もめちゃくちゃだし構図も正直プロ未満だ。

特にキャラクターの描き分けに関しては、顔の判別はおろか男女の見分けすらできないレベルで、「原作と作画を分けた方が成功したのでは?」と思わざるを得ない。分けたら分けたで独特のぱっさぱさ感が消えてしまう恐れはあるが。


④オリジナリティ=9点
まず、テーマの珍しさと独特な世界観、さらにはぱっさぱさでカラッとした雰囲気。加えて少女漫画であることを考えると、奇才や異端という言葉がしっくりとくる。

いい意味でも悪い意味でも、これだけ素晴らしい部分と酷さが露呈している部分がはっきりと示されている漫画は数少ない。そこが、この漫画が隠れた名作と言われる所以なのかもしれない。


⑤間の取り方=5点

常に淡々とした間の取り方を良しとすべきか悪しとすべきかは俺には判断出来ない。

良くも悪くも一貫しているので、乾いた空気が好みの方はずっと楽しめるだろう。

 

総合評価

26点

私的ランク

C+

 

最後に一言

非常に人を選ぶ漫画だと感じる。とりあえず、キャラクターがシナリオを引っ張る作品でなく、シナリオがキャラクターを動かす作品が好きな方は是非一読あれと思う。

 

  

チキタ☆GUGUに対する感想

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