【漫語り】

自分が触れてきた漫画などについての感想(SNSではバッシング怖くて書けないような批評)など。どしどしコメント求めます(*^^)v

喧嘩商売(喧嘩稼業) 5項目評価(陰陽トーナメント一回戦第2試合まで)【漫画レビュー】

f:id:readingcomics:20171109210027j:plain

漫画の概要

作者名:木多康昭
連載雑誌:週刊ヤングマガジン
連載開始・終了時期:2005年~2017年現在
巻数:喧嘩商売:全24巻、喧嘩稼業:既刊8巻
評価基準の詳細はこちらから

ギャグ漫画家がまたやってくれました。最高に異質な格闘漫画ここに現る

5項目評価

①物語性=8点

格闘漫画と考えると、10点でも足りないくらいに一人一人に信念を持たせる背景が用意されている。つまり、大物に捨てキャラクターがいないので、本気で誰が勝ち残り誰が負けるのか、読者側として予想できる範囲がグンと広がるので、現在行われている「陰陽トーナメント」はそう易易と勝敗予想のできないものに仕上がっている。

特に心理戦・場外戦部分は秀逸で、単純な実力で試合が決しない舞台をきちんと創りあげることに成功している(事実、主人公の佐藤十兵衛は単純な実力なら陰陽トーナメントに出られないレベル)。

最近ではめっきり見ることが少なくなったギャグパート(幕張から続く作者の伝統芸)は不評の声が多いが、俺は割とそこを含めて好きだ。

 

②キャラクター=7点

格闘漫画としては、キャラクターは割と控えめ。そこも含めて異質と言える。

キャラクターは基本的に陰陽に分かれており、陽はトップアスリートなどの華やかなキャラクターが多く、場外戦はしない真摯なタイプ。陰はどこかしら精神が欠落していたり、ダーティーだったりで場外戦は平気で仕掛けてくるし、武器を隠し持って利用することも厭わない何でもありのタイプ。基本的に全員漫画IQチップではなく、現実IQチップで、思考の枠組みを外れているマジモンは一人二人しか今のところ見受けられていない(漫画的というより現実的な枠からのはみ出し方)。

キャラクターとして一番の功績は、主人公の佐藤十兵衛が魅力あるキャラクターという点。格闘漫画には珍しく、主人公の闘う試合が作中で一番面白い。基礎能力で大きく劣る主人公が場外戦や心理戦を駆使して強敵を打ち破るところは、少年漫画的でもあり青年漫画的でもあって、かなり面白いキャラクターとなっている。


③表現力=7点

ギャグ漫画家とは思えない程、完成度が高い。

比較的飛び抜けた点はないが、コマの切り方が上手く、動きが止まってだれそうな心理描写も、色々な外野キャラクターをテンポよく小出し描写することでだれることを防いでいる。

絵も流行りのCG絵であるが、作品にも合っており、とても読みやすい。


④オリジナリティ=9点

パターンが出し尽くされた感のあった漫画業界の格闘漫画部門に現れた新しい風ではないか?ここまで心理戦や場外戦に偏った漫画が以前にあっただろうか。

格闘漫画は、絵面を映えさせるために人間を辞めたり勢い頼りになったりと、展開映えのための漫画的都合描写をメインに据えないと成立しないと思っていた。

だが、当作品は人間を止めている部分が極端に少なく(体力は少々人間離れしているが)、もっと盛り上げられそうな展開でも、人間的限界を迎えると呆気なく終わったりする。人間ができることを頭をフル回転させて全力でやる感じでとても新しい。

後続が現れるかは定かではないが、作りとしては現れてしかるべき功績を残していると言える。


⑤間の取り方=6点

さすがにギャグ漫画家だけあって、日常シーンの間のとり方は絶妙。

だが、格闘シーンとなると、表現力で補っている部分が大きいように感じる。呼吸がどちらかと言えば置きすぎなシーンが多々あり、山場の勢いを殺してしまっているときは勿体無いなと思う。

とはいえ、基本的にきっちりと呼吸しているので、さほど気になるものでもない。

 

 

総合評価

37点

私的ランク

 

最後に一言

「理詰めの格闘漫画なんて読んでみたいな」若しくは「ないのかな」と言う方は1度手に取って、できれば喧嘩商売の8巻くらいまで読んでいただきたいと思う。

 

喧嘩商売(喧嘩稼業)に対する感想

readingcomics.hateblo.jp

 

 

 

 

 

喧嘩稼業(1) (ヤンマガKCスペシャル)

喧嘩稼業(1) (ヤンマガKCスペシャル)