うしおととら 5項目評価【漫画レビュー】
漫画の概要
作者名:藤田和日郎
連載雑誌:週刊少年サンデー
連載開始・終了時期:1990年~1996年
巻数:全33巻
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近年にアニメ化されるなど、未だ色褪せない王道ファンタジー漫画
5項目評価
①物語性=4点
30巻以上続いた長期連載漫画であるが、王道ファンタジーでかつ、妖怪退治+トラ等との友情物語というスタンスを、最後まで一切ブレることなく描き切った物語に対する熱は、漫画家でも上から数えた方が圧倒的に早い。
だが、常に激流のように動き回り、伏線を捨てまくり、勢いで設定まで有耶無耶にしてしまうLive感溢れる世界観はさすがに大きな減点対象。とはいえ、熱と臭さに塗れた当作品に、世界観の荒さなど取るに足らず!!
②キャラクター=7点
熱そのままにこれでもかというくらい暴れ回り、臭い立ち回りを恥じらいもしないその姿勢には、ファンタジーの魂がキャラクターすべてに宿っている。
まさに、this is character of comics!
③表現力=9点
作者の真骨頂。感情表現の描写にも特筆すべきものがある。その素晴らしさたるや、見せゴマをネットで見かけて気になって読んでみたら「えっ、これってこんな流れやったん!?もはや詐欺かな!?」と驚く程の力量。とはいえ、ラストのラストに呟かれる「とら」の一言は、見せゴマに恥じぬ名演出。
だが、山場全体を見た場合は低くせざるを得ない。それくらい、作者の描く展開には無理とご都合がてんこもりなのだ。頭で考えると到底納得できるような演出ではないが、心で理解すると、素晴らしくズシッと心に響く演出と昇華されることは間違いないのだが。
④オリジナリティ=5点
王道に王道を重ねたオリジナリティ。王道以外の筋道を創ることができるのか、うしとらを読むと疑問に思うほど(なお、この疑問は青年誌で出した二作でギリギリ払拭される)。
⑤間の取り方=4点
日常シーンは間もへったくれもないが、山場の最後の方だけ最高の呼吸の置き方をするのでこの点数。
総合評価
29点
私的ランク
B
最後に一言
下手に凝った風の漫画に浸食されて、自分が好きな漫画の方向性を見失っている時、必ずジュビロ(藤田)先生の漫画は道しるべのように光を灯してくれるはず。
うしとらはその原点である。つまり、ファンタジーの塊。漫画そのものなのだ。
うしおととらに対する感想